○鹿児島市電気軌道建設規程
昭和42年4月29日
交通局規程第51号
第1章 総則
第1条 この規程は、本市電気軌道の建設に関する一般的基準を規定することにより運輸の安全を確保することを目的とする。
第2条 この規程の用語の意味は、次のとおりとする。
(1) 「本線路」とは、車両の運転に常用する線路をいい「側線」とはその他の線路をいう。
(2) 「併用軌道」とは、道路上その他公衆の通行する場所に敷設する軌道をいい「新設軌道」とは、その他に敷設する軌道をいう。
第2章 線路及び建造物
第1節 軌間及び輪縁路
第3条 軌間は、直線において軌条頭の内側より内側までの距離によりこれを測定し、1,435メートルとする。
第4条 軌道の曲線において軌間に拡度を付する場合は曲線の半径は120メートル以下のものとし拡度は25ミリメートル以内とする。
第5条 輪縁路はてつさの場合38ミリメートル以上、その他の場合45ミリメートル以上とする。
2 市街地における併用軌道で交通特にひん繁な箇所で転てつ器又はてつさを設置する箇所ではみぞ軌条を用いるか若しくはこれに準ずる施設をしなければならない。
第2節 軌道規程
第6条 併用軌道は、道路の中央にこれを敷設し次に掲げる車体外有効幅員を持たさねばならない。
道路の種別 | 車道歩道の区別ある道路の車道各側 | 車道歩道の区別なき道路各側 | |
両側人家連担又は連担すべき場所 | その他の場所 | ||
特に主要な街路 | 8.18メートル以上 | ― | ― |
主要な街路 特に主要な国道 | 4.55メートル以上 | ― | ― |
街路 主要な国道 特に主要な県道 | 3.64メートル以上 | 4.55メートル以上 | 4.10メートル以上 |
国道 主要な県道及び市道 | ― | 3.64メートル以上 | ― |
第7条 特に主要な国道、主要な国道及び特に主要な県道を除く他の道路においては、次に掲げる車体外有効幅員を存し、軌道をその一方に偏して敷設することができる。
道路の種別 | 車道歩道の区別なき道路 | |||
両側人家連担又は連担すべき場所 | その他の場所 | |||
1側 | 他の1側 | 1側 | 他の1側 | |
国道 主要な県道及び市道 | 4.55メートル以上 | 2.73メートル以上 | 4.55メートル以上 | 1.82メートル以上 |
県道 市道 | 3.64メートル以上 | 1.82メートル以上 | 3.64メートル以上 | 0.91メートル以上 |
第8条 本線路においては、並行した両軌道中心の間隔は車両の最大幅員に400ミリメートルを加えたものより小であつてはならない。
2 本線路においては、車両と中央柱その他の工作物との間隔は230ミリメートルより小であつてはならない。
3 本線路の曲線部において前2項に規定する間隔は、これに両車両の偏いする寸法を加えたものより小であつてはならない。
第9条 併用軌道においては、軌条間の全部及び左右600ミリメートルは、その軌道を敷設する道路の路面と一構造とし、軌条面と道路面とは高低のないようにしなければならない。
第3節 電車柱排水設置及び地下工作物に対する防備
第10条 道路に建設する電車柱は、特別の事由がある場合を除くほか側柱式としなければならない。
2 側柱は車道歩道の区別のある箇所においては、歩道の車道側に建てなければならない。
3 中央柱式による電車柱には、点燈の設備をしなければならない。
第11条 併用軌道においては、排水の設備をしなければならない。
第12条 軌道を地下工作物と交さ又は接近して敷設するためその工作物を防護する必要があるときは、適当な設備をしなければならない。
2 軌道は人孔、制水弁等の操業に障害を及ぼさない適当の距離を保ちこれを敷設しなければならない。
第4節 架空電車線
第13条 架空電車線の電気方式は直流架空単線式とし600ボルトを標準とする。
第14条 架空電車線の高さは軌条面より5メートル以上を標準とする。
2 前項の高さはずい道橋の下部においては3.5メートルまでこれを減ずることができる。
第15条 架空電車線は軌条面に直角な軌道中心面より左右各250ミリメートル以上偏いしないようにしなければならない。
第5節 曲線及びこう配
第16条 本線路の曲線半径は11メートルより小であつてはならない。
第17条 本線路のこう配は1,000分の40より急であつてはならない。
第18条 停留場における本線路のこう配は1,000分の10より急であつてはならない。
第6節 軌道及び橋りよう
第19条 軌道及び橋りようの各部は、動荷重に耐える負担力を有しなければならない。
2 併用軌道における軌道及び橋りようの構造は、前項に規定するもののほか街路に係るものは街路構造令(大正8年内務省令第25号)その他の道路に係るものは道路構造令(大正8年内務省令第24号)の規定によらなければならない。
第20条 直線では両軌面の高さを等しくする必要がある。ただし、曲線における高度を逓減する場合はこの限りでない。
2 曲線では転てつ器に附帯する場合を除くほか、外側軌条に相当の高度を付し、曲線に接続する直線又は緩和曲線において、これを逓減しなければならない。
第21条 枕木下面より施工基面までの道床の厚さは100ミリメートル以上なければならない。
第22条 軌道中心より施工基面縦端までの距離は1.83メートル以上とする。
第23条 新設軌道の橋りようを交通ひん繁な道路上又は水面上に架設する場合は、物件の墜落を防ぐため車両の全幅員及びその両側各300ミリメートル以上これをおおわなければならない。
第24条 新設軌道の橋りようその他車両を避けるのに困難な場合には90メートル以内の距離に待避所を設けなければならない。
第25条 新設軌道の線路の終端には、車止を設けなければならない。
2 車両が本線路に脱出するおそれのある線路には相当の防止設備をしなければならない。
第26条 新設軌道において人又は牛馬等の線路に踏み入るおそれのある場所及び保安上必要なる場所には堤とうさくがき又はこうきよを設けなければならない。
第7節 踏切道
第27条 軌道と道路との平面交さの交角は特別の事由がある場合を除くほか、国道県道及び主要な市道であつた場合は45度以上その他は30度以上としなければならない。
第28条 踏切道は、軌条間の全部及びその左右各610ミリメートルに木石その他適当な材料を敷き軌条面と道路面と高低のないようにしなければならない。
2 新設軌道の踏切道には通行人の注意をひくような警標を設け、交通ひん繁な箇所には門ぴその他相当の保安設備をしなければならない。
第8節 保安装置
第29条 線路が本線路から分岐し、又は本線路が鉄道軌道と平面交さする箇所並びに新設軌道の停留場において車両の行違をなすものについては、相当の保安装置をしなければならない。
第3章 車両
第1節 装置
第30条 車両には適当な制動機を装置しなければならない。動力車には手用制動機を装置しなければならない。ただし、動力制動機を備える車両は、監督官庁の許可を受け手用制動機を省略することができる。
第31条 車両には、救助器、担弾機、音響器及び乗務員間の合図器を装置しなければならない。ただし、新設軌道のみを運転する車両は、救助器を装置する必要はない。
2 客車は前項に規定するもののほか、乗降用ハンドル及び車窓保護棒を装置しなければならない。
第32条 客車内には点燈の設備をしなければならない。ただし、ガス燈又は電燈であるときは予備燈の設備をしなければならない。
第33条 電車には次の装置をしなければならない。
(1) 自動しや断器を設備すること。
(2) 特別の場合のほか、前後に制御器を設置すること。
(3) 避雷器を設置すること。
第34条 客車内の面積は、乗車定員1人につき平均0.28平方メートルより小であつてはならない。ただし、起立乗客に対する相当の設備がある場合に限りこれを0.18平方メートルまで縮小することができる。
第35条 客車の乗降踏段のけ上げは380ミリメートル以内有効け込は215ミリメートル以上でなければならない。
第36条 客車の出入口の戸の有効開き及び乗降口の有効長については550ミリメートル以上でなければならない。
第2節 車輪
第37条 車輪縁の幅は105ミリメートル以上130ミリメートル以下でなければならない。
第38条 車輪縁の高さは、輪鉄中央の踏面より測り18ミリメートル以上25ミリメートル以下でなければならない。輪縁の厚さは、輪鉄中央の路面より10ミリメートル下位において測り常に16ミリメートルの寸法を保たさねばならない。
第4章 雑則
第39条 変電所には相当の予備機械を備えることが必要である。
付則
この規程は、昭和42年4月29日から施行する。