○鹿児島市交通局軌道整備心得
平成22年5月19日
交通局規程第19号
鹿児島市交通局軌道整備心得(平成12年交通局規程第3号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 軌間、水準、高低、通り及び平面性(第5条―第16条)
第3章 軌条及び付属品(第17条―第54条)
第4章 分岐器(第55条―第60条)
第5章 脱線防止軌条及び摩耗防止軌条並びに橋上護輪軌条(第61条―第63条)
第6章 車止及び車輪止(第64条―第66条)
第7章 枕木(第67条―第78条)
第8章 道床(第79条―第87条)
第9章 路盤(第88条―第93条)
第10章 建造物(第94条―第102条)
第11章 舗装(第103条―第105条)
第12章 樹脂固定軌道(第106条―第112条)
第13章 雑則(第113条―第120条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 軌道の敷設及び保守並びにこれに付帯する諸建造物の構築及び維持に関しては、この心得によるものとする。ただし、特殊の事情でこの心得によることのできない場合はこの限りでない。
(適用要項)
第2条 軌道の敷設及び保守並びにこれに付帯する諸建造物の構築及び維持にあたっては、下記の要項を遵守しなければならない。
(1) 電車の動揺を調査し運転状況に適応する線路状態の維持に努めること。
(2) 急進のおそれがある欠陥はその予防に努め、これが発生し始めた時は速やかに適切な処置をすること。
(3) 材料の持久をはかり不用意の損耗をきたさないよう努めること。
(軌道の巡視)
第3条 軌道は、車両を安全に運転することができる状態に保持し、毎日少なくとも1回軌道掛員は巡視しなければならない。ただし、車両の安全な運転に支障を及ぼすおそれのないと認められるときは、1週間に1回巡視しなければならない。巡視は、作業車、電車(車上)又は徒歩により、線路及び舗装等の良否、分岐器の機能等の異常の有無並びに標識類の良否について、目視又はこれと同等以上の方法で行うものとする。
(平27交通局規程4・一部改正)
(軌道の検査)
第4条 軌道については、検査基準日を9月1日として、検査基準日から起算して1年を経過した日の前後45日以内に定期検査を行うものとする。
(平27交通局規程4・全改)
第2章 軌間、水準、高低、通り及び平面性
(軌間)
第5条 軌間は、1.435メートルで正確に保持しなければならない。ただし、電車の動揺が少なく保守上支障のない限り下記の狂いは整正しなくても差し支えない。
本線路 増7ミリメートル 減4ミリメートル
側線 本線に準ずる
(スラック)
第6条 曲線には、下記算式によるスラックをつける。ただし、200メートル未満の曲線には摩耗防止護輪軌条をつけるので、本算式によるスラック全部は考慮する必要はない。
S=(1,100/R)-6
S……スラック(mm)
R……曲線半径(m)
1,100…固定軸距を1.981メートルとして算出したもの
第7条 スラックをつけるときは、曲線内方に軌間を拡大する。
第8条 スラックの逓減距離は、下記の各号によるものとする。
(1) 緩和曲線のある場合は緩和曲線全長とする。ただし、緩和曲線の長さ5メートル未満の場合は5メートルとする。
(2) 緩和曲線のない場合はカントの逓減距離と同一とし、カントをつけない場合は5メートルとする。
(3) 半径の異った同方向の曲線の接続する箇所では、半径の大きい曲線中でスラックの差を前各号に準じて逓減するものとする。
(カント)
第9条 直線では、両軌条面の高さを等しくすることを要し、曲線では分岐の場合を除いて外側軌条に相当のカントをつけるものとする。
第10条 曲線のカントは、当該曲線を通過する運転速度とその曲線半径に応じて付属図表第1表(以下「カント表」という。)により、付けなければならない。カント表の数値は次の式から誘導したものである。
C=GV2/0.127R……(1)
((V12-V2)/127R)×(H/G)≦(1/8)G……(2)
C=カント(mm)
G=軌間(m)
V=平均速度(km)
V1=最大速度(km)
R=曲線半径(m)
H=軌条面上から車両底までの高さ(m)
2 カント表中の平均速度は、当該曲線を通過する電車速度から決定すること。また、その値は各電車の動揺が最小でかつ、軌道の狂いが最小になる値のカントであることを原則とする。
第11条 カントをつけるときは、曲線内方軌条を基準として外方軌条を扛上するものとする。
第12条 カントの逓減距離は下記各号によるものとする。
(1) 緩和曲線のある場合は、緩和曲線の全長とする。
(2) 緩和曲線のない場合は、円曲線の始終点からカントの下記倍数以上とする。
本線路及び側線 200倍
(3) 半径の異なった同方向の曲線の接続する箇所では半径の大きい曲線中でカントの差の200倍以上とする。
(軌道の水準)
第13条 軌道の水準は狂いを示さないように保持しなければならない。ただし、電車の動揺が少なく保守に支障のない限り下記限度内の狂いは整正しなくても差支えない。
直線の場合 8ミリメートル
曲線の場合 9ミリメートル
800メートルを超える曲線は直線に準ずるものとする。
(軌道の高低)
第14条 軌道は不陸のないよう高低を整正しなければならない。ただし、電車の動揺が少なく保守上支障のない限り下記限度内の狂いは、整正しないでも差支えない。
延長10メートルで 10ミリメートル
(軌道の平面性)
第15条 軌道の平面性は下記のとおりとする。
基準管理値 20mm
測定方法 手動検測、基準長2.0m
(軌道の通り)
第16条 軌道は通りよく整正するものとする。ただし、電車の動揺が少なく保守上支障のない限り下記限度内の狂いは、整正しないでも差支えない。
直線の場合 延長10メートル以内で 10ミリメートル
曲線の場合 〃 15ミリメートル
曲線800メートルを越える曲線は直線に準ずる。
2 軌条の通りは直線ではどちらか一方の軌条を基準として、曲線では外方軌条を基準として、基準杭等適切な基準標を設けこれを照合して整正するものとする。
第3章 軌条及び付属品
(軌条)
第17条 本線路に使用する軌条は50N、50PS、40N、37Aを標準とする。
(短尺軌条)
第18条 軌条は特別の場合を除き、下記の長さ未満のものを使用しないものとする。
本線路 3メートル
側線 2メートル
(軌条の転換・振替)
第19条 軌条は、適当な時期に転換又は振替て使用するものとする。
(軌条更換基準)
第20条 軌条更換基準は、次のとおりとする。
(1) 軌条頭部の頭頂面及び軌間内の側面(ゲージコーナー)の最大摩耗高が下記表の程度に達したとき。ただし、構内側線の30kg軌条においては、14mmに達したとき。
軌条別 | 50kg、50kgN | 40kgN | 37kg |
頭部最大摩耗 | 16mm | 14mm | 14mm |
(2) 波状摩耗の波の高さが3ミリメートルに達したとき。
(3) その他、運転上危険のおそれがあると認められるとき。
(異状状態の軌条の監視)
第21条 異状を示した軌条は詳細に調査し、まだ更換を要するに至らない場合は、その部分に白ペイントを塗って識別しやすいようにして監視に努め、軌条の損傷、亀裂等が急進の状態を現した場合は直ちに更換しなければならない。
(急曲線の軌条)
第22条 急曲線に敷設する軌条は付属図表第2表によってある程度湾曲して使用するものとする。
(継目落)
第23条 軌条の継目は継目落が生じないように、道床の噴泥に注意し、砕石及び継目板の保守点検を行うものとする。
(酷暑時の軌条更換)
第24条 酷暑時の軌条更換、線路切断、軌条整正等は、特に継目の状態及び道床整備状態に注意して施工しなければならないものとする。
(差異のある軌条の接続)
第25条 軌条の高さ又は頭部の幅員に差異のあるものを接続する場合は、中継軌条を使用するか異型継目板を使用して軌間側に食違いを生じてはならないものとする。
(軌条の防護)
第26条 軌条更換にあたっては、軌条を軌間内又は軌条に接近して置いてはならない。
(軌条の切断)
第27条 軌条を切断する場合は、正角垂直に切断するものとする。
(軌条の小返り)
第28条 軌条の小返りは、努めて整正するものとする。
(応急資材の備え)
第29条 軌道には応急時の対応として、一定の場所に軌道に敷設してある軌条及び付属品と同種類の応急資材を備えるものとする。
(古軌条の集積)
第30条 軌道より取外した古軌条は、選別してなるべく一定の場所に積分け、その員数及び軌条長等を表示するものとする。
(軌条の敷設)
第31条 軌条は、枕木面に垂直に敷設しなければならない。ただし、傾斜付タイプレートを使用する場合はこの限りでない。
(軌条継目)
第32条 軌条は継目を相対式に敷設しなければならない。ただし、特別の場合は相互式に敷設することができる。
第33条 軌条の継目を相互式に敷設するときは、一方の軌条継目を対側軌条の中央より左右各方軌条全長の4分の1の範囲におくものとする。
第34条 軌条の継目は、かけ継ぎ法を用いるものとする。ただし、新設軌道のコンクリート枕木敷設区間は支え継ぎ法とし、特殊の場合はこの限りでない。
第35条 軌条の継目は橋梁の中央及び橋台付近並びに踏切道では努めてこれを避けるものとする。ただし、側線ではこの限りでない。
(曲線部の軌条継目)
第36条 曲線軌道における軌条の継目は、半径の大小に応じて短軌条を混用し、両側軌条の継目を努めて円中心線におくものとする。
(軌条更換時の軌条遊間)
第37条 新設軌道において、予め計画を定めて行なう軌条更換は相当延長にわたって軌条の遊間を整正した後施工するものとする。
(軌条の継目遊間)
第38条 軌条の敷設及び遊間整正の軌条継目遊間は下表を標準として遊間を持たせるものとする。
現場気温(摂氏) | 遊間 mm | |
軌条長 9m~12m | 軌条長 20m | |
零度未満 | 8 | 11 |
10°未満 | 7 | 9 |
20°未満 | 6 | 7 |
30°未満 | 4 | 5 |
40°未満 | 3 | 3 |
40°以上 | 2 | 2 |
気温変化少ない所 | 2 | 2 |
第39条 軌条の継目遊間は、夏期冬期に先だち特に整正に努めなければならない。又、ふく進の著しい区間では、ふく進に伴って遊間の不整が発生し易いので、常に整正に留意しなければならない。ただし、併用軌道区間の継目遊間は考慮の必要はない。
(軌条付属品)
第40条 軌条付属品を使用するときは、次の各号に掲げた事項を遵守するものとする。
(1) 損傷及び亀裂は精密に調査し、敷設後危険をおよぼすおそれのあるものは使用しないこと。
(2) ねじれ僥みのあるものは矯正すること。
(3) 継目板と軌条との接触する箇所に付着した錆ははぎ落し充分密着するように掃除すること。
(4) ボルトはナットを取外して、ネジ部を掃除して不良箇所には修理を加え塗油すること。
(軌条の磨耗軽減)
第41条 曲線に敷設された軌条で磨耗の進行がはやいものは、塗油を行い磨耗を軽減するよう努めること。
(継目板)
第42条 本線路及び重要な側線の継目板で次の各号状態に達したものは直ちに交換するものとする。
(1) 亀裂が上縁又は下縁に相当長に及んで危険のおそれがある場合に達したもの。
(2) 軌条継目位置の上下に亀裂を生じたもの。
(3) 磨耗及び腐食その他損傷が甚だしいもの。
第43条 本線路及び重要な側線で内外相対する継目板に亀裂を生じたときは、前条の交換程度に達しない場合でもその程度に応じて片側又は両側を交換するものとする。
(犬釘)
第44条 犬釘は、枕木1丁に対し4本とし、一定方向にハ形に打込み、軌条内外相対する犬釘はなるべく隔離させ、かつ、枕木縁端から犬釘中心まで少なくとも5センチメートルの距離を保たせなければならない。ただし、犬釘は必要に応じて増打ちをすることができる。
第45条 犬釘打替の場合には、枕木の状態によりハ形の方向を変更し、また犬釘の位置は連続しない限り前条の規定を緩和することができるものとする。
第46条 角形継目板を用いた軌条継目の犬釘は継目板の切欠に打込まなければならない。ただし、道床のない橋梁又は縦枕木使用箇所その他特別の場合はこの限りでない。
第47条 犬釘を打込むときは必ず軌間ゲージを使用して軌条を正当の位置にすえた後真直ぐ打込まなければならない。
第48条 犬釘を打込むときは必要に応じ枕木にせん孔するものとする。
(ネジ釘)
第49条 ネジ釘を使用するときはネジ釘とほぼ同等な直径のネジ錐で、ネジ部の長さを枕木にせん孔しなければならない。ネジ釘の使用に関しては犬釘使用の場合に準ずる。
(タイプレート)
第50条 運転頻繁な線路及び軌条の食込みが著しい区間にはタイプレートを使用するものとする。
(ふく進防止)
第51条 本線路には必要に応じ軌条ふく進防止装置を施設するものとする。
(軌条支材)
第52条 本線路及び重要な側線の半径200メートル以下の曲線その他、特に必要があると認める場合には、軌条支材を内外軌条の外側に付属図表第3表の配置によって取付けなければならない。ただし、傾斜付タイプレート敷設ではこれを省略することができる。
第53条 軌条支材に弛緩を生じた場合は、その末端にパッキングを使用して緊締するものとする。
(コンクリート枕木及び連接軌道ブロックの緊締)
第54条 コンクリート枕木を用いるときは、軌条下に軌道パッドを敷きクリップで押え二重弾性装置として緊締するものとする。
2 連接軌道の軌条締結ボルトの締め付けトルクは、800から1000kgf・cmで締め付けること。
第4章 分岐器
(分岐器の敷設)
第55条 分岐器を敷設するときは次の各号によるものとする。
(1) 分岐器を相対し敷設する場合分岐曲線の半径80メートルより小さいときは両転てつ器尖端の間になるべく相当の間隔をおくこと。
(2) 分岐器の各部分はもちろんその前後5メートル以上はなるべく同一種類の軌条を使用すること。
(3) 分岐器を仮設する場合には本線軌条はなるべく切断せず、別に相当な軌条を使用して接続すること。
(分岐器の半径)
第56条 分岐曲線の半径は20メートル以上であることを要する。
(分岐器のスラック)
第57条 分岐曲線のスラックは、別に定める分岐定規によってつけなければならない。
(分岐器施設)
第58条 分岐器には次の各号による施設をなすものとする。
(1) 重要な転てつ器には尖端外方300ミリメートル付近に軌間保持材を取付け、てつ叉には必要に応じて軌間支材を取付けること。
(2) 分岐外曲線には必要に応じて軌条支材を取付けること。
(3) 分岐器には必要に応じて適当な護輪器を施設すること。
(尖端軌条)
第59条 転てつ器の尖端軌条は常に基本軌条に密着するよう保守しなければならない。常時鎖錠してある転てつ器は時々転換して密着又は接続の状態を検査するものとする。
(分岐器の保守)
第60条 分岐器の軌間、水準、高低及び通り等の保守に関しては次の各号によるほか一般軌道に準拠しなければならない。
(1) てつ叉部の軌間の狂いは下記の限度内においては整正しないでも差支えない。
増 5ミリメートル
減 2ミリメートル
(2) てつ叉部鼻端と護輪器(輪縁路側)との間隔は下記の範囲内においては整正しないでも差支えない。
最大 1,404ミリメートル 最小 1,397ミリメートル
第5章 脱線防止軌条及び摩耗防止軌条並びに橋上護輪軌条
(脱線防止軌条)
第61条 本線路で特に必要と認める曲線には、内側軌条の内側に次の間隔をもって脱線防止軌条又は、脱線防止ガードを敷設し、その両端は30センチメートル以上の長さでこれをじょうご形に湾曲し、終端で少なくとも脱線防止軌条は80ミリメートル、脱線防止ガードは110ミリメートルの間隔を保つこと。
新設軌道 65ミリメートル(脱線防止軌条) 85ミリメートル(脱線防止ガード)
(摩耗防止軌条)
第62条 摩耗のはなはだしい箇所及び200メートル未満の曲線には、前条の脱線防止軌条に準じて次の間隔をもって摩耗防止軌条を敷設することができる。
新設軌道 38ミリメートル
併用軌道 32ミリメートル
(橋上護輪軌条)
第63条 本線路で特に必要と認められる新設軌道の橋梁には、付属図表第4表によって護輪軌条を敷設するものとする。
2 護輪軌条を枕木に据付ける場合には、犬釘を枕木1丁おきに打込まなければならない。
第6章 車止及び車輪止
(車止)
第64条 線路終端には車止を設けることとする。
(車輪止)
第65条 側線には必要に応じ車輪止を接触限界内2メートルの箇所に設けることとする。
第66条 車輪止は白色に塗ることとする。
第7章 枕木
(枕木の配置)
第67条 枕木の仕様及びその配置員数については、付属図表第5表によるほか別に定めるところによるものとする。ただし、路盤軟弱で保守困難な箇所はその配置員数を増加することができる。
第68条 枕木の軌条に対する配置は付属図表第5表によるほか軌道中心線に直角に枕木の中心は軌道の中心と一致させるものとする。ただし、犬釘又はネジ釘の打替えにあたり必要な場合には軌条底面の2分の1だけ枕木位置を移動させることができる。
(橋台前後の枕木配置)
第69条 橋台前後の枕木配置は搗固めに差支えない範囲に縮小するものとする。その他の枕木は所定の間隔を超えないように配置するものとする。(付属図表第6表)
2 斜角橋梁の場合もできる限り特別の構造とし直角に敷設するものとする。
(枕木の敷設許容狂)
第70条 枕木の間隔が拡大し、または、軌道中心線に対する直角の狂いを生じたときは整正するものとする。ただし、次の各号に掲げる限度内では整正しないことができる。
(1) 枕木間拡大(軌間内軌条底位置で)70ミリメートル
(2) 軌道中心線に対する直角狂(軌間内軌条底で)90ミリメートル
(3) 曲線の継目枕木に対しては本条の限度を幾分緩和するものとする。
(枕木の敷設)
第71条 枕木敷設にあたっては次の各号によることとする。
(1) 木枕木は、二つの軌条据付面は同一面内にあるように削均する。
(2) 木枕木は、割裂のおそれある枕木は使用に先だって割止を施すこと。
(3) 木枕木の中身を下向きにして丸味あるものは幅広い方を下敷とすること。
(4) PC枕木は、ビータ・バール等で衝撃を与えないように十分注意するとともに、割れ折れ等の損傷のあるものは使用しない。
(5) PC枕木の運搬、移設等の取扱いにあたっては、中央部が支点とならないようにすること。また、線路整備にあたっては、中央部の道床搗固めを行わない。
(6) PC枕木の使用にあたっては、ボルト穴に塵埃等異物が入らないように布きれ等を挿入にて防護すること。
(橋梁枕木の敷設)
第72条 橋梁枕木は、枕木1丁に付きフックボルト2本をもって橋桁に取付けなければならない。
(枕木補修)
第73条 軌条食込が大きくなった場合には、その部分の枕木表面を削均するものとする。
(犬釘の抜取り)
第74条 犬釘を抜き取るときは、努めてクロバー台を使用し枕木が損傷しないよう注意しなければならない。犬釘及びネジ釘の孔跡は良質の込栓を打込むものとする。
(軌条継目の枕木位置整正)
第75条 軌条継目の位置を移動した場合には、継目付近の枕木は即時位置を整正し道床バラストの搗固めをするものとする。
(枕木交換)
第76条 本線の枕木は、特別の場合を除くほか、同時に2丁以上連続して更換してはならない。
(古枕木の集積)
第77条 軌道から取外した古枕木は再使用ができるものは修理更正して、一定の場所に積分け標札を付けてその員数を表示するものとする。
(橋梁、開渠枕木の移動防止)
第78条 橋梁及び開渠上の枕木には、つなぎ材を取付けるものとする。
第8章 道床
(道床バラスト)
第79条 道床は、努めて土工定規に示す形状によって保持するものとする。
第80条 道床バラスト及び敷込バラストは、良質のものを使用するものとする。
第81条 本線路及び側線の道床は、40ミリメートル以上枕木を露出させないように補充するものとする。
(高低、水準及び平面性の整正)
第82条 軌道の高低、水準及び新設軌道の平面性の整正は、特別の場合を除き道床バラストの搗固め又は敷き込みバラストの敷込みによるものとする。
(道床バラスト搗固め)
第83条 道床バラストの搗固めは、軌道中心から左右約400ミリメートルの範囲を入念に行い、特に両側軌条下を均等になるように搗固めると共に、軌道の高低及び水準の整正も併せて行うものとする。ただし、新設軌道においては、平面性の整正も併せて行うものとする。
(道床補充)
第84条 道床補充は、区間全般にわたって枕木を均等になるように補充しなければならない。
(軌道扛上、低下)
第85条 本線路の軌道扛上又は低下する場合には、左右とも平等に行い、1回に高さ100ミリメートルを超えてはならない。また、その取付部分は電車の通過する時、軌条面に急変を起さないように措置しなければならないものとする。
2 軌道の扛上又は、低下を連続的に行う場合には、炎暑の日を避けなければならない。
(道床掻き出し)
第86条 本線路の道床を掻き出す場合には、炎暑の日を避け、一時に連続60メートルを超えてはならないものとする。ただし、炎暑の日であっても危険がないと認められる場合は、連続30メートルまで掻出すことができる。
(特殊箇所の道床維持)
第87条 排水の不良又は噴泥箇所の道床は、特にふるい分を怠ってはならない。
第9章 路盤
(路盤)
第88条 路盤の形状は、努めて土工定規によって保持しなければならない。
(築堤維持)
第89条 築堤で頂面低下し道床保持が困難となった時は、かさ置をし必要に応じて腹付けするものとする。
(路盤の排水)
第90条 路盤排水不良箇所又は支持力不足箇所では、排水が良好である状態に保持しなければならない。
(路盤の沈下防止)
第91条 橋台背後又は重要な分岐部等で路盤強固でない箇所は、適当な方法により沈下を防止しなければならない。
(除草及び築堤等の保護)
第92条 軌道及び路盤の雑草は除草し、築堤及び切取斜面を保護する草木は繁茂を図るものとする。
(排水施設)
第93条 軌道の排水溝及び伏樋類は、通水ができるように良好な状態に保持しなければならない。
第10章 建造物
(建造物の検査)
第94条 建造物については、検査基準日を6月1日として、検査基準日から起算して1年を経過した日の前後45日以内に定期検査を行うものとする。
(平27交通局規程4・全改)
(橋梁の監視点検)
第95条 橋梁の監視点検は、特に次の事項に注意し保全を期するものとし、その点検結果は、記録し保守の資料とするものとする。
(1) 橋桁各部の継手付近の異常
(2) 鋲の弛緩及び腐食
(3) 床版、沓座の変位
(4) 床石の移動並びに基礎ボルトの屈曲及び折損
(5) 橋桁の撓度及び応力並びに橋台橋脚の沈下及び振動の状態
(6) 橋台、橋脚及び翼壁の基礎並びに護岸及び根固コンクリートの状態
(橋台及び橋脚の清掃)
第96条 橋台及び橋脚の上面並びに汚れ易い橋桁の部分は、時々掃除するものとする。
(橋桁の塗装補修)
第97条 橋桁の塗装が剥落し防錆不充分と認められた場合は、錆落しを完全に行いペイント塗装を行うものとする。
2 潮風、煤煙、洪水等による塗装の損傷を発見した場合は、拡大しないように速やかにその部分を修復するものとする。
第98条 橋梁枕木に接触する部分にペイント塗替の必要を生じた場合には、枕木を移動して塗布し乾燥をまって枕木を原位に復するものとする。
第99条 橋桁ペイントの塗替をした時は、その都度、橋桁の見易い箇所に塗装年月日、使用ペイント等を記載するものとする。
(橋梁歩板)
第100条 橋梁上には、必要に応じて歩板を設けるものとする。
(橋梁上カント)
第101条 橋梁上のカントは、その2分の1を限度として桁座面でこれをつけることができる。ただし、槽状桁の場合はカントの全部を桁座面でつけること。
第102条 踏切道には、必要に応じて付属図表第7表のとおり軌間内に護輪器を設けるものとする。
第11章 舗装
(併用軌道の舗装)
第103条 併用軌道の軌道敷は、一般交通に支障のない様に道路面にならい舗装しなければならない。
2 緑化軌道区間の芝生舗装区間は、不陸のないように平坦にしなければならない。ただし、芝生の盛り上がりを確認した場合の管理基準は、軌条面から50ミリメートルまでを限度とし、この基準を超えた場合は、直ちに切削するものとする。
(平26交通局規程1・一部改正)
(舗装補修)
第104条 舗装の損傷箇所は、極力修理に努め、次の各号に掲げる場合には直ちに修理しなければならないものとする。
(1) 舗装板石又はコンクリートブロックが、き損し、又はなはだしく浮動した場合。
(2) 舗装板石又はコンクリートブロックが、離脱し穴となった場合。
(3) コンクリート舗装又はアスファルト・コンクリート舗装にき損を生じたとき。
(4) その他一般交通に危険を及ぼすおそれがあると認めた場合。
(舗装破損の原因究明)
第105条 舗装の破損は、下部構造の弛緩に起因することが多いので、弛緩の原因を調査し施工にあたっては、その欠陥の除去に努め舗装の破損を防止しなければならないものとする。
第12章 樹脂固定軌道
(樹脂)
第106条 樹脂固定軌道において、樹脂固定に使用する樹脂は、二液混合型特殊ポリウレタン樹脂を標準とする。
(プライマーの塗布)
第107条 樹脂注入前には、軌条を敷設する溝を清掃し、溝の側面にプライマーを塗布しなければならない。
(樹脂の温度管理)
第108条 樹脂の保管時の温度管理は、摂氏10度から30度とし、かくはんは摂氏5度から35度の間で行なわなければならない。
2 樹脂の保管場所の温度及びかくはん時の気温が、前項の温度範囲外の場合は、所定の温度になる処置を行なわなければならない。
(樹脂のかくはんと注入)
第109条 樹脂のかくはんは60秒を標準とし、かくはん後は素早く注入しなければならない。
(樹脂硬化)
第110条 樹脂注入後、樹脂の特性が安定的に保障できるまでの約90分間については、車両を走行させてはならない。
(樹脂の点検方法)
第111条 樹脂の点検は、目視及び触診により点検し、剥離及び隆起、変色等に注意し、点検するものとする。
(樹脂の補修)
第112条 樹脂に軌条頭部より下まで達するような剥離、損傷、劣化が認められた場合には、直ちに補修しなければならない。
第13章 雑則
(中央分離帯補修)
第113条 併用軌道区間の中央分離帯の板石が、躯体と剥離したときは速やかに補修を行うものとする。また、側壁の補修は、板石の転倒及び通りに十分に注意すること。
(異状箇所の記録、点検、補修)
第114条 軌道及び建造物に異常を生じた場合にはその箇所を表示し記録を作成し時々点検を行ない異常の推移を観察し、危険のおそれがあると認める場合には直ちに修理するものとする。
(防護柵及び近接建造物)
第115条 新設軌道敷内に障害物の入るおそれがある箇所には適当な防護柵を設置しなければならない。軌道に近接する建造物で建築限界に抵触するおそれのあるものは時々検測するものとする。
(用地境界標)
第116条 用地境界標については、特に損傷又は亡失しないように注意しなければならない。
(作業時の他の施設)
第117条 軌条面の扛上及び低下又は軌道中心の移動を必要とする場合は、架空電線その他の施設及び電車運転に支障ないように施工しなければならない。
(電気施設への注意)
第118条 電気関係の施設がある箇所で作業する時は、軌条ボンド補助帰線等に支障のないように注意し、やむを得ずこれをき損した場合は直ちに電線路関係者に通知し、速やかな復旧を図るものとする。
(測定機器の点検)
第119条 軌間ゲージ水準器、高低測定器等は時々その正否を点検しなければならないものとする。
(電車の動揺検査)
第120条 軌道は随時適当な器具を用いて電車の動揺を測り不良個所はその原因をただし整正するものとする。
付則
この規程は、平成22年6月1日から施行する。
付則(平成26年1月17日交通局規程第1号)
この規程は、平成26年4月1日から施行する。
付則(平成27年3月31日交通局規程第4号)
(施行期日)
1 この規程は、平成27年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の鹿児島市交通局軌道整備心得第4条又は第94条の規定により最初に行う検査は、この規程の施行の日前に、改正前の鹿児島市交通局軌道整備心得により最後に検査を実施した日から起算して、次に揚げる施設の種類に応じ、当該各号に定める期間内に行うものとする。
(1) 軌道 1年
(2) 建造物 2年
付属図表(省略)