○鹿児島市福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例
平成24年12月25日
条例第56号
(趣旨)
第1条 この条例は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「法」という。)第80条第1項の規定に基づき、福祉ホームの設備及び運営に関する基準について定めるものとする。
(基本方針)
第2条 福祉ホームは、利用者(福祉ホームを利用する障害者をいう。以下同じ。)が地域において自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、現に住居を求めている障害者につき、低額な料金で、居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜の供与を適切かつ効果的に行うものでなければならない。
2 福祉ホームは、利用者の意思及び人格を尊重して、常に当該利用者の立場に立ったサービスの提供に努めなければならない。
3 福祉ホームは、地域及び家庭との結び付きを重視した運営を行い、市、障害福祉サービス事業を行う者その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者等との連携に努めなければならない。
4 福祉ホームは、利用者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その職員に対し、研修を実施する等の措置を講じなければならない。
(令3条例23・一部改正)
(構造設備)
第3条 福祉ホームの配置、構造及び設備は、利用者の特性に応じて工夫され、かつ、日照、採光、換気等の利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。
(1) スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性の材料の使用、火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、初期消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
(2) 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
(3) 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
(運営規程)
第4条 福祉ホームは、次の各号に掲げる施設の運営についての重要事項に関する運営規程を定めておかなければならない。
(1) 施設の目的及び運営の方針
(2) 職員の職種、員数及び職務の内容
(3) 利用定員
(4) 利用者に対して提供するサービスの内容並びに利用者から受領する費用の種類及びその額
(5) 施設の利用に当たっての留意事項
(6) 非常災害対策
(7) 虐待の防止のための措置に関する事項
(8) その他運営に関する重要事項
(非常災害対策)
第5条 福祉ホームは、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、当該福祉ホームの立地環境に応じ、火災、風水害、地震、津波、火山災害等個別に非常災害に関する具体的計画を立てなければならない。
2 福祉ホームは、前項の具体的計画の内容について、利用者及び職員に分かりやすく当該福祉ホーム内に掲示しなければならない。
3 福祉ホームは、非常災害時の関係機関への通報及び連絡体制を整備するとともに、常に地域社会との連携を図ることにより非常災害時に地域住民の協力が得られる体制づくりに努め、それらの取組を定期的に利用者に周知しなければならない。
4 福祉ホームは、非常災害に備えるため、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行なわなければならない。
5 福祉ホームは、前項に規定する訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。
(令3条例23・一部改正)
(サービスの提供の記録)
第6条 福祉ホームは、利用者に対しサービスを提供した際は、当該サービスの提供日、内容その他必要な事項を、サービスの提供の都度記録しなければならない。
(記録の整備)
第7条 福祉ホームは、職員、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 福祉ホームは、利用者に対するサービスの提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、当該サービスを提供した日から5年間保存しなければならない。
(1) 前条に規定するサービスの提供の記録
(2) 第16条第2項に規定する苦情の内容等の記録
(3) 第17条第2項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(令3条例23・一部改正)
(規模)
第8条 福祉ホームは、5人以上の人員を利用させることができる規模を有するものでなければならない。
(1) 居室
(2) 浴室
(3) 便所
(4) 管理人室
(5) 共用室
2 前項各号に掲げる設備の基準は、次のとおりとする。
(1) 居室
ア 一の居室の定員は、原則として、1人とすること。
イ 利用者1人当たりの床面積は、原則として、収納設備等を除き、9.9平方メートル以上とすること。
(2) 浴室 利用者の特性に応じたものであること。
(3) 便所 利用者の特性に応じたものであること。
(4) 共用室 利用者の娯楽、団らん、集会等の用に供する共用の部屋として、利用定員に応じて適当な広さを有すること。
3 福祉ホームの設備は、専ら当該福祉ホームの用に供するものでなければならない。ただし、利用者に対するサービスの提供に支障がない場合は、この限りでない。
(職員配置の基準)
第10条 福祉ホームには、管理人を置かなければならない。
2 管理人は、障害者の福祉の増進に熱意を有し、福祉ホームを適切に運営する能力を有する者でなければならない。
(利用者に求めることのできる金銭の支払の範囲等)
第11条 福祉ホームが利用者に対して金銭の支払を求めることができるのは、当該金銭の使途が直接利用者の便益を向上させるものであって、当該利用者に支払を求めることが適当であるものに限るものとする。
2 前項の規定により金銭の支払を求める際は、当該金銭の使途及び額並びに利用者に金銭の支払を求める理由について書面によって明らかにするとともに、利用者に対し説明を行い、その同意を得なければならない。
(勤務体制の確保等)
第12条 福祉ホームは、利用者に対し、適切なサービスを提供できるよう、職員の勤務の体制を定めておかなければならない。
2 福祉ホームは、当該福祉ホームの職員によってサービスを提供しなければならない。ただし、利用者の支援に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。
3 福祉ホームは、職員の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。
4 福祉ホームは、適切なサービスの提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
(令3条例23・追加)
(定員の遵守)
第13条 福祉ホームは、利用定員を超えて利用させてはならない。ただし、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。
(令3条例23・旧第12条繰下)
(業務継続計画の策定等)
第13条の2 福祉ホームは、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施し、非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。
2 福祉ホームは、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 福祉ホームは、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
(令3条例23・追加)
(衛生管理等)
第14条 福祉ホームは、利用者の使用する設備及び飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない。
2 福祉ホームは、当該福祉ホームにおいて感染症が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 当該福祉ホームにおける感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(第17条の2第1号において「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。
(2) 当該福祉ホームにおける感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
(3) 当該福祉ホームにおいて、職員に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。
(令3条例23・旧第13条繰下・一部改正)
(秘密保持等)
第15条 福祉ホームの職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
2 福祉ホームは、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(令3条例23・旧第14条繰下)
(苦情解決)
第16条 福祉ホームは、その提供したサービスに関する利用者又はその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 福祉ホームは、前項の苦情を受け付けた場合は、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3 福祉ホームは、その提供したサービスに関し、市から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4 福祉ホームは、市からの求めがあった場合は、前項の改善の内容を市に報告しなければならない。
5 福祉ホームは、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第83条に規定する運営適正化委員会が同法第85条の規定により行う調査又はあっせんにできる限り協力しなければならない。
(令3条例23・旧第15条繰下)
(事故発生時の対応)
第17条 福祉ホームは、利用者に対するサービスの提供により事故が発生した場合は、市、当該利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 福祉ホームは、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について、記録しなければならない。
3 福祉ホームは、利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
(令3条例23・旧第16条繰下)
(虐待の防止)
第17条の2 福祉ホームは、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 当該福祉ホームにおける虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。
(2) 当該福祉ホームにおいて、職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
(3) 前2号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
(令3条例23・追加)
(電磁的記録等)
第18条 福祉ホーム及びその職員は、記録、保存その他これらに類するもののうち、この条例の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるもの(次項に規定するものを除く。)については、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。
2 福祉ホーム及びその職員は、説明、同意その他これらに類するもの(以下「説明等」という。)のうち、この条例の規定において書面で行うことが規定されている又は想定されるものについては、当該説明等の相手方の承諾を得て、当該説明等の相手方が利用者である場合には当該利用者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、書面に代えて、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によることができる。
(令3条例50・追加)
(委任)
第19条 この条例に定めるもののほか、福祉ホームの設備及び運営に関する基準について必要な事項は、市長が別に定める。
(令3条例23・旧第17条繰下、令3条例50・旧第18条繰下)
付則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。
付則(令和3年3月22日条例第23号)
(施行期日)
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。
(虐待の防止に係る経過措置)
2 この条例の施行の日から令和4年3月31日までの間、改正後の鹿児島市福祉ホームの設備及び運営の基準に関する条例(以下「新条例」という。)第2条第4項及び第17条の2の規定の適用については、これらの規定中「講じなければ」とあるのは、「講ずるよう努めなければ」とする。
(業務継続計画の策定等に係る経過措置)
3 この条例の施行の日から令和6年3月31日までの間、新条例第13条の2の規定の適用については、同条中「講じなければ」とあるのは「講ずるよう努めなければ」と、「実施しなければ」とあるのは「実施するよう努めなければ」と、「行う」とあるのは「行うよう努める」とする。
(感染症の予防及びまん延の防止のための措置に係る経過措置)
4 この条例の施行の日から令和6年3月31日までの間、新条例第14条第2項の規定の適用については、同項中「講じなければ」とあるのは、「講ずるよう努めなければ」とする。
付則(令和3年6月24日条例第50号)
この条例は、令和3年7月1日から施行する。