○鹿児島市交通局電力線路保守心得

平成29年2月9日

交通局規程第3号

鹿児島市交通局電力線路保守心得(昭和42年交通局規程第60号)の全部を改正する。

第1章 総則

第1条 電力線路の保守については、別に定めがある場合のほかこの心得の定めるところによらなければならない。

第2条 電力線路とは、き電線路、電車線路、帰線路及び高圧配電線路をいう。

第3条 保守とは、施設物の機能を低下させないよう維持していくことをいう。

第4条 電車線路で本線路に関係のあるものは、毎日少なくとも1回巡視しなければならない。

第5条 巡視は電線路全般の異状の有無を確認すると共に電力線路に影響を及ぼすおそれのある他の電線路、道路、鉄道、軌道、建造物等の建設又は改修、支障樹木の有無に注意し行うものとする。

第6条 電力従事員は関係法令並びに規程及びこの心得を熟知し必要な技術の精通に努め、さ細な事象でも看過することなく調査研究し設備の改善に努めるとともに、保守の万全に努めなければならない。

第7条 指揮者は電力線路施設及び作業に関連する事項については特に熟知し作業に当っては係員を指揮して能率よくかつ安全に作業させなければならない。指揮者不在のときは次席のものがこれを代行する。

第8条 係員は指揮者の指揮に従い知識経験を生かして効果的な作業を行うよう努めなければならない。もしこれに従うことのできない場合は再打合わせの上了解の下に作業しなければならない。ただし、緊急の際は自分の責任において施工しその結果をすみやかに報告しなければならない。

第9条 指揮者は作業の能率を図るため作業上必要な事項については事前に指導又は通知を行い作業を順調に進めるようしなければならない。

第10条 備品工具類は常に整理整頓し使用後は点検整備を行い次の作業に備えなければならない。

第11条 主回路の現状はモニター類により常に明らかにしておかなければならない。

第12条 設備についての図表類等は常に整備しておかなければならない。

第13条 電力線路が支持物を異にする他の電線路(弱電流電線路を含む。以下同じ。)又は他の地中埋設物と交さもしくは接近する場合はその電線路又は埋設物の所属種類、太さ条数保護装置の種類及び相互距離等必要な事項を記録整備しておかなければならない。

2 前項の施設については相互間の距離並びにその施設の状態に注意し危険のおそれがあると認めたときはその管理者と協議の上適当な処置をとらなければならない。

第14条 気象状態については常に注意し、風水害による事故を未然に防止するよう努め巡視しなければならない。

第15条 工事その他のため電力線路に影響を及ぼすおそれのあるときは監視をすると共に適当な処置を講じなければならない。

第16条 建築限界については特に注意し必要があれば、関係係員立会いの上検査しなければならない。

第2章 検査

第17条 電力線路の検査は、定期検査及び臨時検査とする。

第18条 定期検査は別表第1「電力線路検査方法」により施行し不良なものは取替え又は修理をしなければならない。

2 定期検査は使用状況、使用環境及び機能の低下の程度等を考慮し、個々の設備又はその部分ごとに別表第2「電力線路検査周期及び検査時期」に定める検査時期に行うものとする。なお、検査時期とは検査の周期及び検査基準日に応じた次に定める時期のことをいう。

検査の周期

時期

1年以上

検査基準日の前後45日

6月以上1年未満

検査基準日の前後30日

6月未満

検査基準日の前後14日

備考 この表において「検査基準日」とは、検査の周期の初日をいう。

3 前項の規定により検査を行う場合において、災害、事故等により物理的に検査ができない場合又は他の箇所で発生した事故等により検査を中止して対応する必要が生じた場合は、その事情が終了するまでは検査を延期することができるものとする。なお、検査を延期した場合は、その事由を記録するものとする。

第19条 新設、改造又は修理及び一時使用を休止した電力線設備は、臨時検査をし、かつ試運転をした後でなければ使用してはならない。ただし、軽微な改造又は修理をしたもの及び使用を休止した期間が1月以内であるものについては、試運転を省略することができる。

2 前項で定める臨時検査は別表第1「電力線路検査方法」のうち、必要な項目を行うものとする。

3 新設、改造又は修理をした電力線設備は、電気回路の絶縁抵抗の測定及び絶縁耐力試験をした後でなければ使用してはならない。ただし、軽微な改造又は修理をしたもの、電気回路の電圧が300V以下であるものについては、絶縁耐力試験を省略することができる。

第20条 検査または試験を行ったときは、その年月日及び成績を記録し、3年間保管するものとする。

第21条 電力線路はじんあい、煤煙、潮風等のため汚損し易い個所その他保守上必要な場合は第18条又は第19条にかかわらず随時に掃除又は検査をしなければならない。

第22条 電力線路の検査調査測定試験及び機器の特性履歴統計等についての重要な事項は記録保存しなければならない。

第23条 事故用材料は何時にても搬出し得るよう準備しなければならない。

第24条 工事により施設に変更を来した場合は施設台帳に変更記入し整備しておかなければならない。

第3章 架空電車線

第25条 架空電車線は次によるものとする。

(1) 電車線の材質

電車線種別

新線直径

張替限度の直径

110mm2硬銅トロリ線

12.34mm

7.50mm

(2) 架空電車線のちょう架

架空電車線のちょう架方式は車両が50キロメートル毎時以下の速度で走行する場所において直接ちょう架式によりちょう架する場合を除き、ハンガ間隔を5メートル以下としたカテナリちょう架式としなければならない。

(3) 高さ偏位及びこう配

架空電車線の軌条面上の高さは5メートル以上5.4メートル以下、偏位は軌道中心より左右250ミリメートル以内、こう配は1000分の15以下としなければならない。

(4) 電車線の弛度

電車線の弛度の標準値は下表のとおりとする。

温度


スパン

-5°

10°

15°

20°

25°

30°

35°

40°

15m

25mm

25mm

30mm

30mm

35mm

40mm

40mm

60mm

80mm

110mm

10m

12mm

12mm

12mm

15mm

15mm

17mm

20mm

28mm

35mm

50mm

第26条 電車線路の絶縁部分の最大使用電圧に対する全漏えい電流は軌道の延長1キロメートルに付き10ミリアンペアを超えてはならない。

第4章 帰線路

第27条 帰線路は巡視その他の方法により特に盗難損傷等の防止に注意しなければならない。

第28条 軌条継目1個の電気抵抗はその区間の軌条の長さの3.5メートル以下の抵抗に相当する値に保存しなければならない。

第29条 帰線に接近して金属管等の敷設してある個所にあってはこれらの施設物が漏えい電流により電蝕を起さないよう注意しなければならない。

第30条 帰線路を大地から電気的に絶縁した個所にあっては常に絶縁状態に注意して完全にこれを保持しなければならない。

(施行期日)

この規程は、平成29年2月9日から施行する。

別表第1(第18条関係)

電力線路検査方法

1 架空線路共通事項(高圧配電線除く)

検査項目

検査内容

検査方法

(1) 鉄柱及びコンクリート柱

①鉄柱各部の異常及び腐蝕の有無

②防さび塗装の良否

③コンクリート柱の決壊裂傷の有無

④地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

⑤番号札の良否

⑥わん曲、傾斜、捻回、沈下の有無

⑦建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑧防護装置の良否

目視

触手

(2) 木柱

①強度及び高さの適否

②腐朽及び損傷の有無

③笠金の腐蝕、損傷の有無

④地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

⑤番号札の良否

⑥わん曲、傾斜、捻回、沈下の有無

⑦建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑧防護装置の良否

目視

触手

(3) 支線

①取付方の適否

②腐蝕及び素線切れの有無

③道路又は軌条面上の高さの適否

④碍子の腐蝕損傷、取付位置、取付数の適否

⑤地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

⑥建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑦防護装置の良否

目視

測定

2 架空(地中)き電線路・帰線路共通事項

検査項目

検査内容

検査方法

(1) 支線柱

【コンクリート柱】

①コンクリート柱の決壊裂傷の有無

②地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

③番号札の良否

④わん曲、傾斜、捻回、沈下の有無

⑤建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑥防護装置の良否

目視

触手

(2) 腕金

①傾斜わん曲又は腐蝕損傷の有無

②取付ボルトの腐蝕、折損又はナットのゆるみ等の有無

③塗装のはく脱の有無

目視

触手

(3) 保護線

①弛度、幅員の適否

②腐蝕損傷の有無

③架空線の相互距離の適否

④接地線との接続の良否

目視

触手

測定

(4) 断路器

①容量の適否及び接触の良否

②各種ねじ類締付の良否及び端子接続の良否

③絶縁の適否

④操作の良否

⑤附属金具の折損又は腐蝕の有無

⑥名札その他表示類の良否

目視

触手

測定

(5) 電線

①腐蝕又は損傷の有無

②接続の良否

③弛度、線間距離の適否

④地表上の高さの適否

⑤腕金等との接近距離の適否

⑥異物の引っ掛かり等の有無

⑦樹木、建造物、他の電線路との接近距離の適否

⑧絶縁材料の著しい変質腐蝕又は損傷の有無

⑨支持点の腐蝕損傷の有無

⑩きょう梁下部及び地下配線等において雨水等にて故障を起すおそれの有無

目視

触手

測定

(6) きょう梁下部に附する保護装置

①取付方の良否

②腐蝕、損傷、ボルトナット等の折損脱落の有無

目視

触手

(7) 碍子

①取付方、取付位置、取付数の良否

②き裂損傷の有無

③煤煙、塵埃、塩分等の附着の有無

④碍子金具その他の腐蝕、損傷、わん曲、ゆるみ又は脱落の有無

⑤電線バインドの良否

⑥きょう梁等の振動個所におけるナットのゆるみ脱落の有無

目視

触手

(8) 地中化(ハンドホール)

①入水、湿気等の有無

②接続、テーピングの良否、絶縁の適否

③腐蝕損傷の有無

目視

触手

測定

3 架空電車線路

検査項目

検査内容

検査方法

(1) ブラケット

①各部の傷、さけめ及び腐蝕の有無

②締付けボルトナットの折損、緩み、脱落の有無

③わん曲、傾斜の有無

④防さび塗料のはく落の有無

目視

触手

(2) 吊架線及び補助吊架線

①腐蝕又は損傷の有無

②接続の良否

③弛度、線間距離の適否

④地表上の高さの適否

⑤腕金等との接近距離の適否

⑥異物の引っ掛かり等の有無

⑦樹木、建造物、他の電線路との接近距離の適否

⑧絶縁材料の著しい変質腐蝕又は損傷の有無

⑨支持点の腐蝕損傷の有無

⑩きょう梁下部及び地下配線等において雨水等にて故障を起すおそれの有無

目視

触手

測定

(3) 電車線

①電車線の弛度の適否

②高さ偏位及びこう配の適否

③磨耗量の適否

④甚だしい煤煙の附着の有無

⑤交さ個所の電車線相互関係の適否

⑥癖偏、磨耗摺動面の良否

目視

触手

測定

(4) 自動張力調整装置

①動作状態の良否

②取付状態の良否

③外傷・錆の有無

④引止装置の取付状態の良否

⑤支線の腐食及び素線切れの有無

目視

触手

(5) 接続箇所

①腐蝕損傷及びボルト類のゆるみ

②イヤーのすべり及び過熱の有無

③傾斜その他による集電装置との衝撃の有無

目視

触手

(6) 区分装置

①取付位置及び取付方法の適否

②平行部分の長さ、弛度、つり合い、電車線相互間隔の適否

③ボルトナット類の腐蝕の有無

④木部のき裂、焼損及び電車線作り込み部の溶損の有無

⑤弛度の適否及び傾斜その他による集電装置との衝撃の有無

目視

触手

(7) 渉り線装置

①取付位置の適否

②弛度及び電車線相互の高さの適否

③取付金具のゆるみ及び過熱のおそれの有無

④集電装置との衝撃の有無

⑤取付金具の変形異動の有無

目視

触手

測定

(8) き電分岐装置

①取付位置の適否

②接続点の過熱、電線の損傷の有無

③負荷状態の良否

④ボルトナット類のゆるみ又は腐蝕の有無

目視

触手

測定

(9) ハンガイヤードロッパ

①保護金具の離脱又は損傷の有無

②締付の良否

③相互間の距離の適否

④長さの適否

⑤腐蝕の有無

目視

触手

測定

(10) 標識類

①取付の適否

②塗装のはく脱甚だしいかつ色の有無

③腐蝕損傷の有無

目視

触手

4 帰線路

検査項目

検査内容

検査方法

(1) ボンド及びジャンパー線

①腐蝕及び損傷の有無

②ターミナルのゆるみ脱落はく離の有無

③素線切れの有無

目視

触手

(2) 補助帰線

①腐蝕損傷の有無

②接続の良否

③地中帰線埋設方の良否

目視

触手

5 高圧配電線路

検査項目

検査内容

検査方法

(1) コンクリート柱

①コンクリート柱の決壊裂傷の有無

②地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

③番号札の良否

④わん曲、傾斜、捻回、沈下の有無

⑤建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑥防護装置の良否

目視

触手

(2) 木柱

①強度及び高さの適否

②腐朽及び損傷の有無

③笠金の腐蝕、損傷の有無

④地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

⑤番号札の良否

⑥わん曲、傾斜、捻回、沈下の有無

⑦建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑧防護装置の良否

目視

触手

(3) 支線

①取付方の適否

②腐蝕及び素線切れの有無

③道路又は軌条面上の高さの適否

④碍子の取付位置、取付数の適否

⑤地際の塵埃のたい積又は雑草の繁茂の有無

⑥建植箇所の土質軟弱又は崩壊の有無

⑦防護装置の良否

目視

測定

(4) 腕金

①傾斜、わん曲、腐蝕、損傷の有無

②取付ボルトの腐蝕、折損又はナットのゆるみ等の有無

③塗装のはく脱の有無

④アームタイの腐蝕、損傷及び取付位置並びに取付数の適否

目視

触手

(5) 接地装置

①接地線の腐蝕、損傷の有無

②防護といの腐蝕、損傷の有無

③異種接地装置との混触の有無

④接地抵抗の適否

⑤埋設標又は埋設表示の良否

目視

触手

測定

(6) 電線

①腐蝕又は損傷の有無

②接続の良否

③弛度、線間距離の適否

④地表上の高さの適否

⑤腕金及びアームタイ等との接近距離の適否

⑥異物の引っ掛かり等の有無

⑦樹木、建造物、他の電線路との接近距離の適否

⑧絶縁材料の著しい変質腐蝕又は損傷の有無

⑨支持点の腐蝕損傷の有無

⑩地下配線等において雨水等にて故障を起すおそれの有無

目視

触手

測定

(7) 碍子

①取付方、取付位置、取付数の良否

②き裂損傷の有無

③煤煙、塵埃、塩分等の附着の有無

④碍子金具その他の腐蝕、損傷、わん曲、ゆるみ又は脱落の有無

⑤電線バインドの良否

⑥ナットの緩み、脱落の有無

目視

触手

別表第2(第18条関係)

電力線路検査周期及び検査時期

1 架空線路共通事項(高圧配電線除く)

検査項目

検査周期

検査基準日

時期

(1) 鉄柱及びコンクリート柱

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(2) 木柱

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(3) 支線

1年

6月15日

5月1日から7月30日

2 架空(地中)き電線路・帰線路共通事項

検査項目

検査周期

検査基準日

時期

(1) 支線柱

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(2) 腕金

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(3) 保護線

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(4) 断路器

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(5) 電線

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(6) きょう梁下部に附する保護装置

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(7) 碍子

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(8) 地中化(ハンドホール)

1年

8月15日

7月1日から9月29日

3 架空電車線路

検査項目

検査周期

検査基準日

時期

(1) ブラケット

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(2) 吊架線及び補助吊架線

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(3) 電車線(摩耗量)

(4)以外

1年

9月15日

8月1日から10月30日

(4) 電車線

(高さ、偏位、こう配)

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(5) 自動張力調整装置

6月

①6月1日

②12月1日

①5月2日から7月1日

②11月1日から12月31日

(6) 接続箇所

1年

9月15日

8月1日から10月30日

(7) 区分装置

1年

9月15日

8月1日から10月30日

(8) 渉り線装置

1年

9月15日

8月1日から10月30日

(9) き電分岐装置

1年

9月15日

8月1日から10月30日

(10) ハンガイヤードロッパ

1年

9月15日

8月1日から10月30日

(11) 標識類

1年

6月15日

5月1日から7月30日

4 帰線路

検査項目

検査周期

検査基準日

時期

(1) ボンド及びジャンパー線

1年

4月15日

3月1日から5月30日

(2) 補助帰線

1年

4月15日

3月1日から5月30日

5 高圧配電線路

検査項目

検査周期

検査基準日

時期

(1) コンクリート柱

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(2) 木柱

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(3) 支線

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(4) 腕金

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(5) 接地装置

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(6) 電線

1年

6月15日

5月1日から7月30日

(7) 碍子

1年

6月15日

5月1日から7月30日

鹿児島市交通局電力線路保守心得

平成29年2月9日 交通局規程第3号

(平成29年2月9日施行)