○鹿児島市議会議員の政治倫理に関する条例
平成12年3月27日
条例第49号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者としてその人格と倫理の向上に努め、市政に対する市民の信頼にこたえるとともに、市民の市政に対する主権者としての自覚を喚起することによって、清廉かつ公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員及び市民の責務)
第2条 議員は、市民全体の代表者として市政に携わる権能と責務を深く自覚し、市民の信頼に値する高い倫理性を持つとともに、市民に対し、常に政治倫理に関する高潔性を示すことができるよう努めなければならない。
2 市民は、主権者として自ら市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことについて自覚を持つとともに、自己の利益又は第三者の利益若しくは不利益を図る目的をもって、議員に対して、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第3条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者としてその品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 市民全体の奉仕者として行動するものとし、その地位を利用して金品を授受しないこと。
(3) 市(市の出資法人を含む。)が締結する工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約及び物品の購入契約又はこれらの下請負若しくは再委託に関する契約に関して特定業者の推薦又は紹介をすることその他の有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員の公正な職務執行を妨げ、その権限若しくは地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと、又は市職員の採用、昇任若しくは人事異動に関し推薦若しくは紹介をしないこと。
2 議員は、前項に規定する政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(市民の調査の請求)
第4条 議員が、前条第1項に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認められるときは、選挙権を有する市民(調査を請求する時点において、本市の選挙人名簿に登録されている者に限る。)は、その総数の100分の1以上の者の連署をもって、代表者から当該政治倫理基準に違反する疑いのあることを証する書類を添えて、市議会議長(以下「議長」という。)に調査を請求することができる。
(政治倫理調査特別委員会の設置等)
第5条 前条の規定による調査の請求(以下「請求」という。)を受理したときは、市議会に、鹿児島市議会政治倫理調査特別委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、請求に関する事件の調査又は審査(以下「調査等」という。)を行うものとする。
3 委員会は、請求の対象となっている議員(以下「対象議員」という。)に意見を述べる機会を与えなければならない。
4 委員会の組織及び運営については、この条例に定めるもののほか、鹿児島市議会委員会条例(昭和42年条例第132号)の定めるところによる。
(資産等報告書の提出)
第6条 委員会は、調査等を行うため必要があると認めるときは、議長を経て、次に掲げる内容のうち委員会が指定する内容を記載した資産等報告書の提出を対象議員に求めることができる。
(1) 資産等の内容
ア 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨
イ 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨
ウ 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨
エ 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預金及び貯金の額
オ 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券にあっては、株式の銘柄及び株数)
カ 自動車、船舶、航空機及び美術工芸品(取得価額が100万円を超えるものに限る。) 種類及び数量
キ ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称
ク 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額
ケ 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額
(2) 所得等の内容
ア 前年分の所得について同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が100万円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)
(ア) 総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)
(イ) 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって議長が定めるもの
イ 前年中において贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)
(3) 関連会社等の内容 報酬を得て会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この号において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合における当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名
2 委員会は、資産等報告書の提出を求める場合においては、相当の期間を定めるものとする。
3 何人も、議長に対し、第1項の規定により提出があった資産等報告書の閲覧を請求することができる。
(平13条例46・平19条例60・一部改正)
(対象議員の協力義務)
第7条 対象議員は、委員会の要求があるときは、調査等に必要な資料を提出し、又は委員会に出席して意見を述べなければならない。
(調査等の終了)
第8条 委員会は、調査等が終了したときは、その結果を会議に諮るものとする。
2 議長は、前項の規定による会議の議決により対象議員に対し勧告することができる。
3 議長は、第1項の規定による会議の議決結果を請求代表者に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。
(贈収賄罪宣告後における釈明)
第9条 議員が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条又は第198条に規定する罪により有罪の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、議長は市民に対する説明会を開かなければならない。この場合において、当該議員は、説明会に出席し、釈明しなければならない。
2 前項の説明会において、市民は、当該議員に質問することができる。
3 第1項に定める説明会の開催の手続その他その運営に関し必要な事項は、議長が定めるものとする。
(贈収賄罪確定後の措置)
第10条 議員が前条の有罪の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、議会は、その名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 議会は、前項の議員に議会の名誉と品位を損なう重大な行為があると認めるときは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第134条及び第135条の規定に基づき懲罰を科することができる。
付則
この条例は、平成12年4月1日から施行する。
付則(平成13年12月25日条例第46号)
この条例は、公布の日から施行する。
付則(平成19年7月6日条例第60号)
この条例は、証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号)の施行の日から施行する。ただし、第6条第1項第1号エの改正規定は、平成19年10月1日から施行する。