○鹿児島市環境基本条例
平成16年3月23日
条例第10号
(目的)
第1条 この条例は、本市の環境をより良くし、将来の世代にその環境を引き継いでいくことができるよう、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境の保全及び創造 環境の保護及び整備を図ることによって、これを人をはじめとする生物にとって良好な状態に維持し、又は形成することをいう。
(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、現在の環境が先人から受け継いだものであり、将来の世代へ引き継いでいかなければならないことを認識して、市民の健康で文化的な生活の基盤となる健全で恵み豊かな環境を確保するとともに、将来にわたって維持していくことができるように行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、環境が有限であること及び人間が生態系の一部として存在し自然から多くの恵みを受けていることを認識して、環境への負荷ができる限り低減され、人と自然とが共生できる循環と共生を基調にした環境にやさしい持続可能な社会を構築することができるように行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっていることを認識して、すべての事業活動や日常生活において、自主的かつ積極的に行われなければならない。
4 環境の保全及び創造は、環境問題を自らの問題として認識して、すべての者の公平な役割分担の下に、相互に協力し、かつ、連携して行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、本市の自然的社会的条件に応じた環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、基本理念にのっとり、社会経済活動における市の果たす役割の大きいことを踏まえ、自らが率先して、その事務及び事業に伴う環境への負荷の低減等の環境の保全及び創造に努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、自らの活動による環境への負荷を認識し、これに伴って生じる環境汚染物質等の排出の抑制、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、緑化の推進等の環境の保全及び創造に努めなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、地域の構成員として、地域の環境の保全及び創造に関する活動への参加に努めなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活における環境への負荷を認識し、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、環境に配慮した製品等の選択、緑化の推進等の環境の保全及び創造に努めなければならない。
2 市民は、基本理念にのっとり、地域の環境の保全及び創造に関する活動への参加に努めなければならない。
(施策の基本方針)
第7条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、次に掲げる基本方針に基づき、各種の施策相互の連携を図りつつ総合的かつ計画的に行うものとする。
(1) 大気、水、土壌等の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持し、人の健康の保護及び生活環境の保全を図ること。
(2) 廃棄物等の発生の抑制、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用等を図り、環境への負荷ができる限り低減される社会を構築すること。
(3) 生物の多様性の確保及び森林、河川、海、農地等における多様な自然環境の保全並びに人と自然との豊かなふれあいの確保を図り、人と自然との共生に取り組むこと。
(4) 緑化、ごみの散乱防止等の推進、良好な景観の形成、歴史的文化的資源の保全及び活用などにより、清潔で美しくうるおいと安らぎのある快適な環境の保全及び創造を図ること。
(5) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境の保全を図ること。
(6) 市、事業者及び市民が相互に協力し、かつ、連携し、自主的かつ積極的に環境の保全及び創造に取り組むことのできる社会の仕組みを構築すること。
(環境基本計画の策定)
第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。
2 環境基本計画は、環境の保全及び創造に関する目標、施策の方向その他必要な事項について定めるものとする。
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第23条に規定する鹿児島市環境審議会の意見を聴くものとする。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画との整合)
第9条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図り、環境の保全及び創造について配慮するものとする。
(環境学習の推進等)
第10条 市は、市民、事業者及びこれらの者の組織する民間の団体(以下「市民等」という。)が環境の保全及び創造についての関心と理解を深めるとともに、市民等の環境の保全及び創造に関する活動の意欲が増進されるようにするため、環境学習及び環境教育の推進並びに広報活動の充実を図るものとする。
(自発的活動の促進)
第11条 市は、市民等の自発的な環境の保全及び創造に関する活動を促進するものとする。
(環境情報の提供等)
第12条 市は、環境学習及び環境教育の推進並びに市民等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、市民等と協働して、環境の保全及び創造に関する必要な情報を収集するとともに、適切に提供し、市民等との情報の共有化を図るものとする。
(環境管理の促進)
第13条 市は、事業者が、その事業活動を行うに当たり、環境の保全及び創造に関する目標等を定めた行動計画を作成し、実行し、見直す等の一連の取組を自主的に実施することを促進するものとする。
(環境事前配慮の促進)
第14条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする事業者が、その事業に係る環境の保全及び創造について事前に配慮することを促進するものとする。
(規制の措置)
第15条 市は、環境の保全及び創造を図るため必要があると認めるときは、規制の措置を講ずるものとする。
(経済的措置等)
第16条 市は、環境の保全及び創造を図るため必要があると認めるときは、市民等に対し、経済的な支援を行い、負担を求め、又は助言その他必要な措置を講ずるものとする。
(環境施設の整備)
第17条 市は、下水道、廃棄物処理施設、公園、緑地、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の循環と共生を基調にした社会の基盤となる施設の整備を推進するとともに、これらの施設の適正かつ効果的な利用を促進するものとする。
(調査の実施等)
第18条 市は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に策定し、及び実施するため、必要な調査を行うとともに、必要な監視、測定等の体制を整備するものとする。
(推進体制の整備)
第19条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。
(財政上の措置)
第20条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(広域的連携)
第21条 市は、環境の保全及び創造に関する広域的な取組を必要とする施策については、国及び他の地方公共団体等と協力し、かつ、連携して推進するものとする。
(年次報告)
第22条 市長は、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況について、年次報告書を作成し、これを公表するものとする。
(環境審議会)
第23条 本市の環境の保全及び創造に関する基本的事項等について調査審議等を行うため、鹿児島市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。
(2) 環境の保全及び創造に関する基本的事項及び重要事項
3 審議会は、前項各号に規定する事項に関し、市長に意見を述べることができる。
4 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
5 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 市長が行う公募に応じた者
(3) その他市長が必要と認める者
6 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 委員は、再任されることができる。
8 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によって定める。
9 審議会は、必要があると認めるときは、部会を置くことができる。
10 専門の事項を調査させるため必要があると認めるときは、審議会に専門委員を置くことができる。
11 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。
(鹿児島市報酬及び費用弁償条例の一部改正)
3 鹿児島市報酬及び費用弁償条例(昭和42年条例第27号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略