○鹿児島市指定建築物の建築等に係る住環境の保全に関する条例

平成16年3月23日

条例第21号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 建築等の計画の周知等

第1節 建築等の計画の周知(第7条―第9条)

第2節 共同住宅等の建築計画等(第10条・第11条)

第3章 建築紛争の調整

第1節 建築紛争の解決の努力(第12条)

第2節 建築紛争の調整の申出(第13条)

第3節 鹿児島市建築紛争調整委員会(第14条―第20条)

第4章 違反者に対する命令等(第21条・第22条)

第5章 雑則(第23条)

第6章 罰則(第24条・第25条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、指定建築物の建築及び指定工作物の築造に関し、建築主等又は築造主等が配慮すべき事項、建築等の計画の周知の手続及び建築紛争の調整に関する手続その他必要な事項を定めることによって、建築紛争の予防と調整を図り、市民の良好な近隣関係を保持し、もって安全で快適な住環境の保全に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)の例によるほか、次の各号に定めるところによる。

(1) 中高層建築物 次に掲げる建築物をいう。

 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内に建築される建築物であって、軒の高さが7メートルを超えるもの及び地階を除く階数が3以上のもの

 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域内に建築される建築物であって、高さが12メートルを超えるもの及び地階を除く階数が4以上のもの

 商業地域(容積率が10分の40である区域に限る。)内に建築される建築物であって、高さが15メートルを超えるもの及び地階を除く階数が5以上のもの

 商業地域(容積率が10分の40を超える区域に限る。)内に建築される建築物であって、高さが20メートルを超えるもの及び地階を除く階数が7以上のもの

(2) 共同住宅等 地階を除く階数が3以上である建築物であって、10以上の住戸を有するもの及び15以上の住室を有し下宿又は寄宿舎の用に供するもの

(3) 指定建築物 中高層建築物及び共同住宅等をいう。

(4) 指定工作物 令第138条第1項第2号に掲げる工作物をいう。

(5) 建築等 指定建築物の建築及び指定工作物の築造をいう。

(6) 隣接住民 建築等をしようとする敷地に隣接する土地(当該建築等をしようとする敷地が幅12メートル未満の道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接するときは、その幅だけ敷地境界線が外側にあるものとみなす。)に存する建築物の所有者、管理者及び居住者(その土地に建築物が存しない場合にあっては、その土地の所有者及び管理者)をいう。

(7) 近隣住民 建築等をしようとする敷地の境界線から、当該指定建築物又は指定工作物(以下「指定建築物等」という。)の高さの1.5倍に相当する距離の範囲内の土地にある建築物の所有者、管理者及び居住者並びに当該指定建築物等により電波障害を著しく受けるおそれがあると認められる者をいう。ただし、前号に掲げる者を除く。

(8) 周辺住民 指定工作物にあっては、指定工作物を築造しようとする敷地が存する本市の町(当該敷地が本市の他の町の区域に隣接する場合にあっては、当該隣接する本市の町を含む。)の区域内にある建築物の所有者、管理者及び居住者をいう。ただし、前2号に掲げる者を除く。

(9) 建築主等 指定建築物の建築主、設計者、工事施工者及び工事監理者をいう。

(10) 築造主等 指定工作物の築造主、設計者、工事施工者及び工事監理者をいう。

(11) 建築紛争 建築等に伴って生じる日照の阻害、電波障害、工事中の騒音及び振動その他の周辺の住環境に及ぼす影響に関する隣接住民、近隣住民又は周辺住民(以下「隣接住民等」という。)と建築主等又は築造主等との間の紛争をいう。

(適用除外)

第3条 法第18条第2項(法第88条第1項において準用する場合を含む。)の規定による計画の通知に係る建築等については、この条例の規定は、適用しない。

(建築主等又は築造主等の環境保全の努力)

第4条 建築等をしようとする建築主等又は築造主等は、当該指定建築物等の周辺の住環境について十分に配慮しなければならない。

(建築主等又は築造主等の責務)

第5条 建築等をしようとする建築主等又は築造主等は、当該建築等によって隣接住民等のテレビジョン、ラジオ等に受信障害が生じることとなるときは、受信障害を受けることとなる者その他関係者と協議し、当該受信障害を防止し、又は解消するために必要な措置を講じなければならない。

2 建築等をしようとする建築主等又は築造主等は、当該建築等に係る工事に伴う騒音又は振動が周辺地域の住環境に著しい支障を生じさせることとなる場合は、その被害を受けるおそれのある関係者と協議し、必要な対策を講じなければならない。

(市長の助言)

第6条 市長は、建築主等、築造主等及び隣接住民等から建築等に係る住環境の保全に関する申出があった場合は、双方から事情を聴取し、助言を行うものとする。

第2章 建築等の計画の周知等

第1節 建築等の計画の周知

(建築等の計画の周知)

第7条 指定建築物を建築しようとする建築主等は、説明会その他の方法(以下「説明会等」という。)により、当該指定建築物の建築に係る計画の内容について、規則で定める事項を隣接住民に周知させなければならない。

2 指定建築物を建築しようとする建築主等は、近隣住民から申出があったときは、説明会等により、当該指定建築物の建築に係る計画の内容を当該申出をした近隣住民に説明しなければならない。

3 指定工作物を築造しようとする築造主等は、説明会等により、当該指定工作物の築造に係る計画の内容について、規則で定める事項を隣接住民及び近隣住民に周知させなければならない。

4 指定工作物を築造しようとする築造主等は、周辺住民から申出があったときは、説明会等により、指定工作物の築造に係る計画の内容を当該申出をした周辺住民に説明しなければならない。

5 建築主等又は築造主等は、隣接住民等から建築等に対する不安、疑問等について申立てがあった場合は、誠意をもって対応し、当該建築等を行うことについて理解が得られるように努めなければならない。

6 建築主等又は築造主等は、次条の規定により標識を設置し、14日を経過した日から、当該指定建築物等に関して法第6条及び第6条の2(法第88条第1項において準用する場合を含む。)に規定する確認の申請(以下「確認申請」という。)を行おうとする日の7日前の日までの間に、第1項又は第3項の規定により行った説明会等について、規則で定めるところにより市長に報告しなければならない。

7 市長は、必要があると認めるときは、建築主等又は築造主等に対し、第2項又は第4項の規定により行った説明の内容並びに第5項の規定による申立ての内容及びこれに対する対応について報告を求めることができる。

(標識の設置)

第8条 建築等をしようとする者は、確認申請を行おうとする日の21日前までに、規則で定めるところにより、建築等の概要を記載した当該指定建築物等の標識を建築等をしようとする敷地内の公衆の見やすい場所に設置しなければならない。

(標識の設置届)

第9条 建築等をしようとする者は、前条の規定により標識を設置したときは、速やかに市長に届け出なければならない。

2 前項の規定により標識の設置の届出を行った後、当該建築等の計画を変更したとき、又は当該建築等を中止したときは、速やかに市長に届け出なければならない。

第2節 共同住宅等の建築計画等

(建築に関する措置)

第10条 共同住宅等を建築しようとする者は、次の事項について、規則で定めるところにより、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(1) 管理人室に関すること。

(2) 自転車及び自動二輪車の置場に関すること。

(3) 自動車駐車場に関すること。

(4) ごみ置場に関すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

(管理に関する措置)

第11条 共同住宅等を管理しようとする者は、次の事項について、規則で定めるところにより、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(1) 管理人に関すること。

(2) 管理規約に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

第3章 建築紛争の調整

第1節 建築紛争の解決の努力

第12条 建築主等又は築造主等と隣接住民等とは、建築紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって自主的に解決するよう努めなければならない。

第2節 建築紛争の調整の申出

第13条 建築紛争の当事者(以下「当事者」という。)の一方又は双方は、当該建築紛争を自主的に解決することができないときは、規則で定めるところにより、市長に建築紛争の調整(以下「調整」という。)の申出を行うことができる。

2 市長は、前項の規定による申出があったときは、次条に規定する鹿児島市建築紛争調整委員会に調整を付託するものとする。

第3節 鹿児島市建築紛争調整委員会

(設置)

第14条 前条第2項の規定による市長の付託に応じ、調整を行うとともに、建築紛争の予防及び調整に関する調査を行うため、鹿児島市建築紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(組織)

第15条 委員会は、委員7人をもって組織し、法律、建築、調停等に関し優れた知識及び経験を有する者のうちから市長が委嘱する。

2 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 委員は、再任されることができる。

(会長)

第16条 委員会に会長を置き、委員の互選によって定める。

2 会長は、委員会を代表し、会務を総理する。

3 会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、委員のうちからあらかじめ互選された者がその職務を代理する。

(会議)

第17条 委員会の会議(以下「会議」という。)は、会長が必要に応じ招集し、会長が議長になる。

2 会議は、委員(会長である委員を含む。以下同じ。)の過半数以上の出席がなければ開くことができない。

3 会議の議事は、出席した委員の合議により決するものとする。

4 会議は、非公開とする。

(委員会による調整)

第18条 委員会は、第13条第2項の規定により調整の付託を受けたときは、委員会を開催し、規則に定めるところにより調整を行うものとする。

2 委員会は、当事者の間に合意が成立する見込みがあると認めるときは、当事者に調整案を提示するとともに、その旨を市長に報告しなければならない。

3 市長は、前項の規定により報告を受けたときは、当事者に調整の終了を通知するものとする。

4 当事者は、調整案の提示を受けたときは、調整案を十分に尊重し、当該建築紛争を円満に解決するよう努めなければならない。

5 委員会は、当事者の間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調整を打ち切り、その旨を当事者に通知するとともに市長に報告しなければならない。

(再調整の禁止)

第19条 委員会は、原則として前条第2項の規定による調整案の提示又は同条第5項の規定による調整の打切りの通知後の調整は行わないものとする。

(委員の守秘義務)

第20条 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

第4章 違反者に対する命令等

(違反者に対する命令等)

第21条 市長は、建築主等又は築造主等が建築等に関し、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該建築主等又は築造主等に対し、指定した期間内に当該指定建築物等の工事の施工の停止等必要な措置を講ずるよう勧告し、又は命ずることができる。

(1) 第5条第1項若しくは第2項又は第7条第1項から第4項までの規定に違反しているとき。

(2) 第7条第6項の規定による報告をしないで建築等をし、又は建築等をしようとしているとき。

(3) 第7条第6項の規定による報告について虚偽の報告をしたとき。

(4) 第8条の規定による標識の設置をしないで建築等をし、又は建築等をしようとしているとき。

(5) 第8条の規定による標識に虚偽の記載をしたとき。

(6) 第9条第1項の規定による届出をしないで建築等をし、又は建築等をしようとしているとき。

(7) 第9条第1項の規定による届出について虚偽の届出をしたとき。

(命令に従わない者の公表)

第22条 市長は、前条の規定による命令を受けた者が正当な理由なくこれに従わないときは、当該命令を受けた者の住所(法人にあっては主たる事務所の所在地)、氏名(法人にあっては名称及び代表者の氏名)及びその内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定による公表を行おうとするときは、当該命令を受けた者に対して、あらかじめ、その旨を通知し、意見の聴取を行うものとする。

3 市長は、第1項の規定による公表の対象となる命令を受けた者の所在が判明しない場合においては、前項の規定による通知を、当該命令を受けた者の氏名(法人にあっては名称及び代表者の氏名)、意見の聴取を行う期日及び場所並びに同項の規定による通知の内容を記載した書面をいつでも当該命令を受けた者に交付する旨を市役所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知が当該命令を受けた者に到達したものとみなす。

第5章 雑則

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第6章 罰則

第24条 第21条の規定による命令(第5条第2項又は第7条第6項の規定に違反している場合における命令を除く。)に違反した者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

第25条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 第5条第7条から第9条まで、第21条及び第22条の規定は、平成16年7月1日以後に確認申請を行おうとする指定建築物等について適用し、同日前に確認申請を行う指定建築物等については、なお従前の例による。

3 前項の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係る行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(鹿児島市報酬及び費用弁償条例の一部改正)

4 鹿児島市報酬及び費用弁償条例(昭和42年条例第27号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(吉田町等の編入に伴う経過措置)

5 吉田町、桜島町、喜入町、松元町及び郡山町(以下「5町」という。)の編入の日(以下「編入日」という。)前に5町であった区域において、編入日以後に建築される指定建築物又は築造される指定工作物であって、平成17年1月31日までに確認申請を行うものについては、この条例の規定は適用しない。

(平16条例110・追加)

(平成16年10月18日条例第110号)

この条例は、平成16年11月1日から施行する。

鹿児島市指定建築物の建築等に係る住環境の保全に関する条例

平成16年3月23日 条例第21号

(平成16年11月1日施行)

体系情報
第11類 設/第1章 土木・建築
沿革情報
平成16年3月23日 条例第21号
平成16年10月18日 条例第110号