○鹿児島市中小企業振興基本条例

令和4年3月22日

条例第9号

鹿児島市は、島津氏の城下町として発展し、古くから海外文化の門戸としての役割を果たすとともに、近世においては、日本の近代産業のさきがけとなるなど個性ある歴史と文化を築いてきた。これらを背景に鹿児島市は、製造業や小売業、サービス業を中心に幅広い分野の産業が集積した南九州屈指の拠点都市として今日まで発展を遂げてきた。

その発展の大きな力となったのは、経済活動の全般にわたり重要な役割を果たすとともに雇用と経済を支えるまちづくりの担い手として市民生活の向上をもたらしてきた中小企業である。しかし近年、その中小企業は、人口減少による需要の縮小、後継者や働き手の不足、新たな危機事象への対応といったこれまでにない経営環境の変化に直面している。

このような状況の下、社会全体が中小企業の果たす役割の重要性を認識し、中小企業が地域資源を活用しながら将来にわたって活力を維持し、成長していくことが、地域経済の活性化、ひいては鹿児島市の発展につながる。

よって、ここに私たちは、中小企業が自主的な努力を基本に地域の多様な主体と一体となって、その持てる力を存分に発揮し持続的に成長することができる、活力ある鹿児島市の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業が地域社会において果たす役割の重要性に鑑み、中小企業の振興に関し基本理念、基本方針その他基本的な事項を定め市の責務等を明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策(以下「中小企業振興施策」という。)を総合的かつ計画的に推進し、もって地域経済の健全な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げる者であって、市内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(3) 中小企業関係団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会その他の中小企業に関する団体であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(4) 金融機関等 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融機関及び信用保証協会であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(5) 大企業者 中小企業者以外の事業者であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(6) 大学等 市内に所在する大学(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学をいう。)及び研究機関をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 中小企業者の創意工夫及び自主的な努力を促進すること。

(2) 人材、技術、産業基盤、自然、歴史、伝統、文化その他本市の有する資源の効果的な活用を図ること。

(3) 市、中小企業者、中小企業関係団体、金融機関等、大企業者、大学等及び市民が、相互に連携すること。

2 小規模企業の振興は、小規模企業者の経営資源に大きな制約があることを踏まえ、その活力が最大限に発揮され、事業の持続的な発展が図られることを旨として推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、中小企業振興施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。

2 市は、中小企業振興施策を実施するに当たっては、国、他の地方公共団体、中小企業者、中小企業関係団体、金融機関等、大企業者、大学等及び市民と協力して、効果的に実施するよう努めなければならない。

(中小企業者の責務)

第5条 中小企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に応じ、自主的にその経営の向上及び改善に努めなければならない。

2 中小企業者は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、中小企業者相互の連携及び協力に努めなければならない。

3 中小企業者は、雇用機会の確保及び人材の育成に努めなければならない。

4 中小企業者は、中小企業関係団体が中小企業の振興に関する活動を実施するときは、当該活動に協力するよう努めなければならない。

(中小企業関係団体の役割)

第6条 中小企業関係団体は、基本理念にのっとり、経営に関する相談対応、助言等を通じて、中小企業者の経営の向上に積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 中小企業関係団体は、中小企業振興施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(金融機関等の役割)

第7条 金融機関等は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、基本理念にのっとり、中小企業者の経営努力を支援するよう努めるものとする。

2 金融機関等は、中小企業振興施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第8条 大企業者は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、基本理念にのっとり、中小企業者との連携及び協力に努めるものとする。

2 大企業者は、中小企業振興施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(大学等の役割)

第9条 大学等は、基本理念にのっとり、人材の育成及び研究の成果の普及を通じて、中小企業振興施策の実施に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第10条 市民は、中小企業の振興が地域経済の活性化及び市民生活の向上に資することを理解し、中小企業者が生産し、製造し、若しくは加工した商品又は提供するサービスを積極的に利用すること等により、中小企業の振興に協力するよう努めるものとする。

(基本方針)

第11条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業振興施策を講ずるものとする。

(1) 経営に関する相談対応及び助言の充実を図ること。

(2) 経営の革新、事業承継の円滑化及び創業の促進を図ること。

(3) 販路拡大の促進を図ること。

(4) 経営資源の確保を図ること。

(5) 資金調達の円滑化を図ること。

(6) 人材の育成及び確保を図ること。

(7) 地域資源を活用した事業活動の促進を図ること。

(8) 多様な人材が働きやすい労働環境の整備の促進を図ること。

(小規模企業者への配慮)

第12条 市は、中小企業振興施策を講ずるに当たっては、経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事情に配慮するよう努めるものとする。

(中小企業者等の意見の反映)

第13条 市は、中小企業振興施策を講ずるに当たっては、中小企業者、中小企業関係団体等からの意見の聴取等により実態を把握し、中小企業振興施策に反映するよう努めるものとする。

(調査及び研究)

第14条 市は、中小企業振興施策を効果的に推進するために必要な調査及び研究を行うものとする。

(財政上の措置)

第15条 市は、中小企業振興施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(基本計画)

第16条 市は、中小企業振興施策を計画的かつ効果的に実施するための基本的な計画を策定するものとする。

(中小企業振興推進会議)

第17条 市は、中小企業振興施策を総合的に推進するため、鹿児島市中小企業振興推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。

2 推進会議は、中小企業振興施策の推進に関する基本的な事項について、市長の諮問に応じるほか、市長に対し、必要な意見を述べることができる。

3 推進会議は、委員15人以内をもって組織する。

4 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

(1) 学識経験者

(2) 関係団体の代表者

(3) 行政機関の職員

(4) その他市長が必要と認める者

5 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員は、再任されることができる。

7 推進会議に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。

8 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第18条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に定められている中小企業の振興に関する市の基本的な計画であって、中小企業振興施策を計画的かつ効果的に実施するためのものは、第16条の規定により定められた計画とみなす。

(鹿児島市報酬及び費用弁償条例の一部改正)

3 鹿児島市報酬及び費用弁償条例(昭和42年条例第27号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(鹿児島市中小企業振興条例の一部改正)

4 鹿児島市中小企業振興条例(昭和48年条例第15号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

鹿児島市中小企業振興基本条例

令和4年3月22日 条例第9号

(令和4年4月1日施行)